Loading [MathJax]/jax/output/HTML-CSS/jax.js
There is a local version available of this page. Change to the local version?
United States

手分析と自動測定の値はどこまで一致するの?実際に比較してみた!


pH・導電率測定を自動化するオートサンプラーの導入を検討されているお客様から、「今まで手分析で行っていた業務を、機械に任せられるか不安・・」というお声を伺います。 手分析と自動測定の測定結果が同じになるのか?という点は、多くの方が気にされているのではないでしょうか。
その疑問に応えるべく、pH測定の助っ人である弊社のオリジナルキャラクター はかせが
LAQUAシリーズのpH電極を用いてサンプルを手分析した場合と、オートサンプラーで自動測定した場合の測定値を実際に比較してみました。
今回のコラムでは、その様子をお届けします!

今回は、市販の牛乳を使って検証します!

実際は牛乳よりお茶派のはかせ

牛乳のpH測定は品質管理において重要じゃ。
微生物の活動によって生成された乳酸の量やたんぱく質の安定性、風味の度合いをpHで管理しているぞ。

測定条件

■手分析

  • サンプル数:3検体
  • 1検体あたりの測定回数:3回(n=3)
  • 校正:標準液(pH4,7,9)による3点校正
  • オートホールド設定(測定値の安定判断基準):10秒以内に±0.015pH
     

サンプルと電極先端のガラス応答膜を馴染ませるため、電極を10秒間サンプルに浸漬してから測定を開始。1検体の測定ごとに電極先端を水洗いして、柔らかいペーパーで水滴をふき取りました。

■オートサンプラーによる自動測定

  • サンプル数:3検体
  • 1検体あたりの測定回数:3回(n=3)
  • 校正:標準液(pH4,7,9)による3点校正
  • オートホールド設定(測定値の安定判断基準):10秒以内に±0.015pH
     

オートサンプラーは測定前に電極が上下に動いてサンプルの撹拌を行います。測定前のサンプルへの電極浸漬時間を合わせるために、オートサンプラーの撹拌時間は10秒に設定しました。また、洗浄はオーバーフロー洗浄(10秒)+ふき取り(3秒)で設定し、1検体の測定ごとに洗浄を実施しました。



オーバーフロー洗浄槽は、二重管構造になっているぞ。
下から内管に水を送り、内管の水を外管に溢れさせて排水する仕組みじゃ。

サンプルのpHは温度によって変わります。測定条件を合わせるため、事前にサンプルを室温に戻しておきます。
いよいよ測定開始!

 

 

測定中・・・

結果はこちら!

手分析

 1回目
測定値
2回目
測定値
3回目
測定値
平均値
牛乳①6.7116.7116.7106.711
牛乳②6.7206.7116.7146.715
牛乳③6.7216.7116.7156.716
scrollable

➡ 手分析の全体平均値(検体ごとの平均値の平均)=6.714

 

1回目
温度
2回目
温度
3回目
温度
24.124.124.1
24.224.224.3
24.424.524.8
scrollable

自動測定

 1回目
測定値
2回目
測定値
3回目
測定値
平均値
牛乳①6.7416.7316.7286.733
牛乳②6.7276.7246.7256.725
牛乳③6.7276.7266.7256.726
scrollable

➡ 自動測定の全体平均値(検体ごとの平均値の平均)=6.728

 

1回目
温度
2回目
温度
3回目
温度
24.424.424.4
24.324.324.3
24.324.324.3
scrollable

手分析と自動測定の平均値の差は、6.7286.714=0.014 という結果でした!

満足そうなはかせ

手分析でも、自動測定も、牛乳のpH値はほとんど変わらないぞ✨

牛乳を測ると、電極は汚れる?

牛乳やヨーグルトなどの乳製品は脂肪分やたんぱく質が豊富に含まれているため、測定後にこれらの粒子が電極に付着し、汚れやすくなります。
複数のサンプルを連続して測定する場合、電極に汚れがついたまま次のサンプルを測定すると、コンタミネーションがおこってしまいます。
コンタミネーションを防ぐには、異なるサンプルを測定する前に電極をしっかり洗浄することが大切です。

測定の自動化を考えるときは、正しく測れるかということだけではなく、電極をどれだけ綺麗に洗浄できるかという点も重要じゃ。

おまけ検証!

オートサンプラーで牛乳を測定しオーバーフロー洗浄を行った後に、pH4と7の標準液を3回ずつ測定してみました。
測定値の平均値を、JISの標準液の規格値と比較して、洗浄が正しくできているかどうかを見てみましょう。
測定結果が規格値に近ければ電極が適切に洗浄できているといえます。反対に洗浄が不十分な場合、規格値から離れていくでしょう。

pH4,7標準液の測定結果はこちら!

 1回目
測定値
2回目
測定値
3回目
測定値
平均値
pH4 標準液4.0384.0154.0104.021
pH7 標準液6.8716.8876.8936.884
scrollable

 

1回目
温度
2回目
温度
3回目
温度
24.524.524.5
24.624.624.7
scrollable

標準液の各温度におけるpH (JIS Z 8802 2011確認)。 詳細はこちらで解説しています。

温度 (℃)しゅう酸塩
標準液
フタル酸塩
標準液 (pH4)
中性りん酸塩
標準液 (pH7)
ほう酸塩
標準液
炭酸塩
標準液
01.674.016.989.4610.32
51.674.016.959.39(10.25)
101.674.006.929.3310.18
151.674.006.909.27(10.12)
201.684.006.889.22(10.07)
251.684.016.869.1810.02
301.694.016.859.14(9.97)
scrollable

実際の測定結果(3回測定の平均値)は、4.021と6.884でした。
JISでは25℃におけるpHの規格値が4.01と6.86となっているので、多少の温度の違いはありますが、規格値との差は0.011、0.024です。
この差分から、牛乳の場合はオーバーフロー洗浄でも十分有効だと言えそうです。
電極がきちんと洗浄できているかを確かめる方法として、pH標準液の測定は手軽でオススメです!
(ちなみに、汚れが落ちにくいサンプルの場合はシャワー洗浄というオプションもあります。)


 

今回のコラム、いかがでしたか?
筆者(コホン。はかせですぞ)が、実際に手分析と自動測定を比較してみた率直な感想は、手分析の場合、測定に付きっきりで作業をする必要があるため、工数がかかるな~と感じたことでした。
その点、自動測定は校正・測定・洗浄を機械が代わりにやってくれるので、その時間を他の作業に充てられたことが一番のメリットだと感じました。

弊社のオンラインデモでは、お客様が実際にお使いのサンプルで手分析と自動測定の比較を行っており、違いをご確認いただけます。ご気軽にお問い合わせください!

 

 

最後まで読んでくれて、ありがとうね~。
また次回のコラムで会いましょう。

水・液体計測 HORIBAグループ企業情報