都市化が進む地域では、街の発展とともに水質汚染が深刻な問題となることがあります。特に配管やインフラ整備が進んでいない地域では、浄水場で作られた水はきれいであっても、蛇口から出る水が汚れていることは少なくありません。
HORIBAは、ホリバ・インスツルメンツ(シンガポール)社を拠点に東南アジア各国の水インフラの整備に注力し、地域の水質改善に積極的に取り組んでいます。
なかでも急速な都市化が進むマレーシアのクアラルンプール市では、生活用水の汚染が問題となっており、HORIBAは2018年より上水の環境水質監視網に自動水質測定装置 TWシリーズを導入しています。
TWシリーズは、濁度、色度、残留塩素など、日々の水質検査に必要な項目を省スペースで自動監視し、水の安全性をモニタリングします。
・濁度:微小な粒子や目に見えない汚れ
・色度:水の着色の度合い
・残留塩素:殺菌効果のある遊離残留塩素の濃度
これらのデータをリアルタイムで監視することで、地域の人々の生活に密接に関わる水質を管理しています。
TWシリーズは市の貯水池や配水池、給水管末に約190台設置され、住民が安心して利用できる水環境を守っています。
クアラルンプール市の貯水池に設置されたTWシリーズ
私たちは単に装置を設置するだけではなく、水質計が長期的に安定して稼働し、地域の人々に安心・安全な水を届ける仕組みが根付くこと目指しています。そのため、現地のエンジニアが効果的に水質計を活用できるよう、オペレーションやメンテナンスのサポートにも注力しています。
現地のエンジニアへトレーニングを実施している様子
今回の導入では、まず現場視察と試運転で現地の疑問や懸念点を把握し、現地のインフラや運用環境に合わせた調整を行いました。クアラルンプール市の上水道では、配管の汚れや詰まりにより測定不良が発生することが課題となっていました。その原因を分析し、TWシリーズ内部の配管流路の調整や洗浄方法の提案を行い、汚れによる測定不良を防げるように改良しました。
また装置の設置後は現地のエンジニアをHORIBA本社に招き、1週間のトレーニングプログラムを実施しました。このプログラムは、本社の開発メンバーから測定原理と基本操作に関する説明や、堀場テクノサービス※のエンジニアによる点検方法や保守作業のトレーニングなど、実践的な内容で行われ、現場で役立つ知識を共有しました。また、国内のTWシリーズ設置現場への訪問や浄水場の見学を通じて日本での水質監視方法のノウハウを伝え、クアラルンプール市の上水環境にどのように活かすことができるのかについての意見交換等を行いました。
水質に関する課題は、地域ごとに異なります。私たちは現地の課題を丁寧に調査し、地域の声に寄り添いながら、最適な水質計の運用方法を提案できるよう努めます。
今後も堀場アドバンスドテクノは「世界中のあらゆる水質を守る」というミッションのもと、世界中のすべての人々が安心・安全な水を飲める社会をめざし、グローバルな水環境の改善に取り組んでいきます。
※HORIBA製品の修理・メンテナンスなどアフターサポートを担当する、堀場製作所のグループ会社
TW-100 製品の詳細はこちら