今回のコラムでは「水生生物の保全や水理現象の把握のため環境水を測定したい」というお客様へ実際に滋賀県犬上川で行った水質調査の事例をご紹介いたします。
水生生物の保全や水理現象の把握のためには、湧水の位置とその河川の水質動態を理解することが重要です。水温・pH・電気伝導率・溶存酸素濃度など複数のパラメータを同時に測定することで、河川内の水質動態を推測できます。今回はマルチデジタル水質計を用いて、これらのパラメータを測定しました。
▲マルチデジタル水質計「WQ-300」で測定する様子
▲3本のセンサをまとめて測定可能
各パラメータについてご紹介いたします。
水素イオン濃度(活量)を示す指数です。二酸化炭素が溶解しているほど低くなり、光合成により水中の二酸化炭素が消費されると上昇します。日当たり良好なワンドやたまりでは、流れが緩やかであり付着藻類や水草が光合成する時間が長くなるためpHが高くなる傾向があり、pHとDO(%)は高い相関を示します。
無機物、汚染の目安になり、汚染水の影響で高まることが多いです。河川水は水源地付近の地質影響を受けるため、地域ごとに主要無機成分の含有濃度が異なるだけでなく、生活排水や汚水からのNa+やCl‒、NO3‒の流入によりCOND値の上昇が見られることがあります。
水中に溶け込む酸素濃度です。本流では流れによる撹拌で大気中の酸素が溶け込むため、飽和付近を示すことが多く、日当たり良好で流れが緩やかなほど付着藻類や水草の光合成により、過飽和になる場合もあります。過飽和状態では、ほぼ確実に光合成が行われていると考えられます。また水温が低いほど飽和溶存酸素濃度は高くなります。
気になる測定結果と河川の水質動態は、以下よりご覧ください。
『マルチデジタル水質計を用いた環境水のpH、DO、導電率測定-WQ-300シリーズ』