
データ取り込みソフトウェア
GATELINK
動物病院様向けに検査結果をPC端末に取込み可能です。プリントアウトも可能。 ※オプション機能です。
京都府
使用機器:動物用自動血球計数装置 LC-662
測定項目:CBC
そもそも私の時代は、小動物臨床をイメージして大学に入る人がほとんどでしたが、私は企業で働くことを考えて免疫の基礎研究系を専攻し、ひたすら研究ばかりしていました。
そんな中、大学近くのある臨床の先生に出会い、臨床についてとても熱心にご教授いただいたことがきっかけで小動物臨床の道へ進みたいと思うようになりました。卒業するころには、小動物臨床の獣医師として資格をとり、卒業後は、親しくしている同級生のご両親が経営されている病院に就職することになりました。その病院は整形・内視鏡をメインにやっており、当時は、まだ内視鏡が広まっていない時代でしたので、最先端の専門技術を行う病院でした。ただ、経験の浅い私が専門技術を早い段階で習得できる環境ではなく、そういう専門はベテランの先生のみが担当していました。その後、滋賀県で雇われ院長をやっていましたが、この時に「ある程度のレベルに達したら開業する」と決めていました。当時は開業するのは当たり前でしたし、遅かれ早かれ開業する道しかありませんでした。私の場合は「この手術が一人でできるようになったら、開業する!」と決めていました。
滋賀県で院長をしていた頃、まだまだ勉強しなければならないと感じていたのですが、院長という立場もあり、院内で教えてもらえる人・私が勉強できる場が正直ありませんでした。自分自身の実力を伸ばすため、院外の知り合いや同級生の先生に声をかけて、まずは小さい勉強会を開きました。それがきっかけでつながりができたことで、専門の先生から勉強させていただくことも出来ましたし、実際に現場に来てもらってその場で手伝ってもらいながら勉強させていただくこともありました。
両立するということは私自身あまり考えておらず、とにかく外とつながることが大事だと思っていました。 横の広がりを持たずに、中だけで仕事をしていると、狭い世界の中だけでどんどん視野も狭くなっていくと感じていましたので、勉強会を通じて知り合った先生とつながることが、情報と技術を得るだけでなく、結果、地域一帯で飼い主さんへの総合的なケアができるような助け合いの和が生まれていると感じています。
おのずと地域研究会も大きくなりましたが、当時と変わらず活動を続けられています。今はもっぱら教えるという立場ではなく、活動が続けられるように会の運営をメインにしています。
獣医師会もまたとても大事な活動です。国家資格を持つ者の責任として、獣医師のレベルを上げる、社会貢献するという気持ちで活動しています。自分の得にならないから、関係ないから・・・という理由から獣医師会に入らない獣医師も多くなっていると聞きます。資格を取ったから獣医師として活動するのは当たり前と思っている人がいますが、若くても獣医師として社会的に評価されることも大事だと思います。そのために獣医師会があるのです。自分自身の経験が浅くても獣医師として評価されるのは、業界を支え、頑張ってくれた先輩方がいらっしゃったからです。そのおかげで今の獣医師は活躍できているのですから、損得勘定ではなく、社会貢献する、恩返しする気持ちで獣医師のレベルを上げていってもらいたいと思います。そういった考えから、私は誰かのために貢献できることはしようと思っています。
一般診療から始まった病院は、スタッフも患者さんも増え、今や規模が大きくなりました。なかなか簡単なことではないのですが、飼い主さんと距離の近い病院であり続けようと、工夫や努力をしています。今までは院長だから私が全体を把握し、すべてにおいて一番できる人をめざしてきましたが、もっと他のスタッフが活躍できるようにすることが私の仕事なのではと切り替えるようになり、スタッフそれぞれのアイデンティティが出せるような環境作りをすることが目標になりました。その結果、スタッフが自主的に最新医療・高度医療に興味を持つようになり、おのずと診療科が増えていった、というのが現状だと思います。
医療技術もどんどん発展し、医療の質自体も向上しているので、飼い主さんの期待も大きくなっていきます。やはり先進的なことをやって欲しいから来院されるので、それに応える必要があります。また、物理的に大学病院が遠く、紹介したくても紹介できない現状もあり、ある程度こちらで解決する必然性も感じていました。「ここでやるしかない!」という思いです。そういう意味では、私たちにしかできないことを始めるのが、病院の差別化・付加価値向上につながると思っているので、すぐに利益にはならないけれど、これからの受け皿になるであろう部門について、獣医師だけでなく愛玩動物看護師も同様にプロとして真剣に考え行動することが大事です。
幼稚園にしても、人と同じように仕事の合間に預けてトレーニングしてもらい、終わったら迎えに行くというニーズがいずれ増えるだろう、という考えから3~4年前に立ち上げています。今後幼稚園のニーズが増えれば、トレーニングを勉強している人たちの受け皿にもなるかもしれません。まだまだニーズが低く、地位が低いトレーナーという職も受け皿が増えれば、質も上がっていくだろう、と発想が広がっていきます。スタッフが考えて行動できるための環境を作っていくことが私の仕事だと感じています。他に行かなくても、とりあえずここに行けばなんとかしてもらえるという施設になることが、最終ゴールだと思っています。
分院を作ろうという計画はもともとありませんでした。当時運営されていた先生が急逝してしまい、残ったご家族やスタッフの方々が運営を続けていらっしゃいました。最初は診療のお手伝いをする程度でしたが、最終ご家族の方々の運営にも限界がきてしまい、やれる範囲で助かる患者がいるなら・・・という思いで引き継いだ、という経緯があります。どうしても小さな施設なのでスタッフが定着しない、また本院にいるスタッフを分院へ固定で働かせられないということは課題でした。ただ、医療の質、診療の雰囲気が全く違う環境の中で、一定期間でも本院のスタッフが働くことはいい経験になると感じました。スタッフ自身が分院での状況に応じた診療を勉強、経験したことが本院での診療にも生きていると実感でき、とても良かったと思っています。
現在はスタッフが46名です。一人一人とコミュニケーションをとり、把握するのは難しい人数となってきました。 質のいい安定した医療を提供するための設備投資はできているとしても、いつ行っても同じ医療レベルを保って提供できる環境作りはなかなか簡単ではありません。そのためには、スタッフ全体のチーム医療・日々のコミュニケーションでスタッフ自身のレベル(質)を上げることが、大事だと感じています。中間管理職をきちんと置いて、スタッフの状況を把握したり、情報を共有しあったりという形ができてきました。健全な組織づくりをめざして日々取り組んでいます。
100~150件/日ですから約4000件/月は診察を行っています。小動物の診察比率としては犬6:猫3:その他1で、その他はウサギ・フェレット・鳥のエキゾチック系になります。猫の飼育数は増えているとは聞きますが、猫は来院されることが少ないため診察数は絶対的に犬の方が多いです。
国際猫学会認定を受けるために、犬と猫の診察の階を分けるだけでなく血液検査の装置も分けています。他の病院からの紹介だけでなく、セカンドオピニオン・専門科に関する相談のために直接飼い主さんが来るケースも少なくありません。
CTについては、私がやらなければならないと思って導入した装置なので積極的に使用し、今は年間300件くらいの稼働数となりました。件数も増えてきましたので、他の先生も使用できるようになっています。
血液検査をするかしないかは診察・症例により判断し、必要があれば検査します。血液検査は20件/日くらいです。血液検査するのであればCBCは必ず確認します。
昔は、CBC装置の精度があまり良くなかったため、ヘマトクリット管をまわして血液塗抹標本を確認するのは必須でしたが、装置の精度が上がったことにより、今の若い獣医師さんはあまり塗抹を引かなくなりました。もちろん数値だけでわかる症例も多くなってはいるのですが、精度が良くなったとはいえ、数値ばかりを追いすぎると、症例を見落とすことにもなりかねないので、塗抹を引いてきちんと像を見る癖をつけておくのは非常に大事と常日頃から伝えています。
症例に応じて都度染めると診察に大変時間がかかってしまい回らなくなります。そこで、時間短縮を目的に、塗抹を引くときにはまずニューメチレンブルー染色で見る癖をつけています。これは網状赤血球を確認したいときだけでなく毎回実施しています。不確定要素があれば、より塗抹での観察が行いやすい他の染色方法で確認するようにしています。この作業は獣医師が行っています。塗抹なので正式な数は数えられませんが、見た感覚だけでもかなり有益な情報が得られます。もともと昔からの私のやり方ですが、スタッフも踏襲してくれています。
操作が簡単なので、スタッフ等からも悪い点は聞きません。院長の立場では、他の装置と比べてランニングコストのパフォーマンスがいいと実感しています。一方、網状赤血球については、塗抹をみて判断しています。シビアにカウントして確認するのは難しいとスタッフも理解してくれているので、網状赤血球が多すぎる、白血球の数が多いといった症例の際には、必ず塗抹できちんと見てくれるようになりました。同様に有核赤血球についても数値を拾ってしまうという機械の限界もあると思うので、それも含めて塗抹を見ることを奨励しています。
細かい情報よりは大きなアウトラインがあると助かります。結局同じ検査をせざるを得ないことが多いので、細かいデータというよりは、どれくらい前からどのような症状が出ているのか、データがなくても大体のことを教えてもらえるだけでいいです。あまりハードルを高く考えず、早めにご連絡いただきたいと思います。
獣医師会で理事をしているから言うのではなく、お金以上のものが得られることが結構多いので、ぜひどんどん参加していただきたいです。自分の立ち位置やどこまでできるか、どう評価されているかが実感でき、人間的にも成長できる場だと思います。損得で考えず、獣医師でいる以上はある程度の社会貢献と思って獣医師会も運営しているので、獣医師たるもの参加する責任があると思っていただきたいです。都合の良い獣医師にならずどんどんレベルの底上げに貢献していただきたいし、期待しています。
私がやりたいこと、始めていることはトップダウンではなく、ボトムアップで運営できる病院を作っていきたい、ということです。院長が決めるのには限界があります。スタッフ全員が一部を見るのではなく、全体を見て物事を捉え、どう変えるべきか、変えるために何をしなければならないのか、自分たちで考え、意見を交わし実現していくということを経験してもらいたい、と思います。でないと自分自身も成長していかないし、病院自体も成り立たなくなると感じるからです。私の役割はその土台・型を作ること、新しい病院のスタイルを作っていくのはスタッフ全体、全員が主役という思いで取り組んでいきたいです。
最近の獣医師の傾向として、開業の選択だけではなくなってきていると思います。そういう意味で勤務医の立場があがっていることも事実ですから、自分自身で開業しなくても勤務医として働くメリットがたくさんあることをわかってもらうことが大事だと思っています。「自分がしたいことがやれる」を理解させてあげる・実践させてあげることが、この大きな病院でやれることのメリットなのではないでしょうか。様々な症例を診られる、休みもちゃんと保障される、自分がやりたいことがなんだろう、と立ち止まったとき、自分がやれることを見つけられるためのお手伝いができる病院になればと思っていますし、私自身はそういう方々を全力で応援したいと思っています。
病院名 | オリーブ動物医療センター |
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住所 | 京都府京都市山科区四ノ宮神田町12-5 |
電話 | 075-501-2139 |
ウェブサイト | www.olive-vet.com |
ワンタッチでイヌ・ネコ切り替え。
吸引量10 μL。診断に必要な検査結果を、約70秒で表示します。
製造販売届出番号 :
22動薬第1806号
※本製品は、MICROSEMI Corporationといかなる関係もありません。
インタビュー当日、近隣地域の中学校の職業体験学習に協力されているのを拝見しました。これも、「獣医師という国家資格を持つ者の責任として、社会貢献する」という理念を、積極的に実施されているひとつなのだと思いました。
また、外部の活動に関して伺っていた際に「スタッフが少なくてとてもしんどい時期に、病院以外の獣医師会や他団体で話す場があるだけでも全然気持ちの負担が違ったのではと思います」とお話くださった奥様。「院長は孤独だと思うので周りとかかわり、しんどい気持ちを聞いてもらうだけでも楽になっただろうし、そのつながりでお互いの顔が見えるようになり、互いに困ったときに助け合える関係になったことで、巡り巡って自分に返ってくるのだと思いますので、ぜひつながりを大事にしてもらいたいと思います」と側で院長を見守ってこられたからこその外部とのつながりに関するコメントが強く印象に残りました。
(2024年7月掲載)
※掲載している情報は取材時点のもので、現在とは異なる場合がございます。