食品の食感や安定性を評価する手法を、粒子径分布や成分分布の解析を通じて紹介します。粒子径分布測定、ラマンイメージング、ゼータ電位測定を活用して、食品の物理特性を分析し、製品の品質向上に寄与します。
コーヒー粉末の粒子径は風味、味、抽出速度などに影響を与えるとされています。
2つのコーヒー粉末の粒子径分布を比較し、コーヒー粉末Bには粗大粒子が存在することを確認できました。また、その粗大粒子は、画像解析ユニットを用いて凝集物であることを確認できました。
【粒度分布】レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置 LA-960シリーズ
装置に内蔵、測定中の粒子の状態を簡単操作で観察できます(9~1000μm)。
チョコレートの口当たりや食感は、含まれる微粒子の大きさによって異なります。
粒子径分布測定結果から日本製Aの粒子径が最も小さいことがわかりました。(測定装置: Partica LA-960V2)
さらに、ラマン分光分析を用いた成分分布評価により、タンパク質、油脂、香料、異なる結晶構造を持つ2種類のスクロースが含まれていることがわかりました。日本製Aには主にココアバター由来と考えられる油脂が多く含まれており、日本製Bには牛乳由来と考えられるタンパク質が多く検出されました。また海外製には、日本製よりもスクロースと香料が多く含まれていることが分かりました。(測定装置: LabRAM Soleil)
ラマンイメージング装置
米粉の粒子径は、用いられる加工食品により異なります。米粉は水で分散させると膨張してしまうため、分散媒に水ではなくイソプロピルアルコールを使用しました。ミニフローオプションでは、少量の溶媒で測定できるため、コスト削減と環境負荷低減に貢献します。
製菓用米粉とパン用米粉の粒子径の違いを見分けることができました。
【粒度分布】レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置 LA-960シリーズ
試料の分散媒量35 mLでのフロー式測定が可能。分散媒に有機溶媒を用いる際にお薦めです。
自由落下方式の乾式ユニットで圧縮空気を使わずに測定すれば、造粒粉をそのままの状態で測定できます。
圧縮空気あり・なしの粒子径分布の比較データから、圧縮空気なしでの測定では、粒子を壊さず測定できていることが確認できました。
【粒度分布】レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置 LA-960シリーズ
粉末状態のまま測定できます。自由落下での非分散測定、圧縮空気を用いた強制分散測定の両方に対応しています。
牛乳は、カゼインミセルと脂肪球からなる粒子が分散したコロイド溶液です。
各種牛乳中の粒子径分布の測定結果から、生乳、全脂牛乳、半脱脂牛乳、脱脂牛乳の細分化・均質化の違いを見分けることができました。(測定装置: Partica LA-960V2)
さらに、粒子径分布測定では区別できなかった異なるブランドの半脱脂牛乳を、ラマン分光分析を用いて化学的な情報を得ることで識別することができました。(発光ピーク強度 2875 cm-1の比較)(測定装置: XploRA PLUS)
ラマン顕微鏡
通常、コーヒーの微粒子同士は静電的に反発する状態に調整することで粒子が安定し、分散性が増した結果、凝集が防がれるため、コーヒー成分の沈降や相分離が起こりません。その指標となるゼータ電位を測定しました。
測定結果から、-21 mV のゼータ電位が得られました。時間の経過と共に電荷によって凝集沈殿が起こることが予想できる値です。
ナノ粒子解析装置
試料量や溶媒に応じて選択できます。