太陽電池はカーボンニュートラル・脱炭酸社会の実現に向けて注目される再生可能エネルギーの一つとして、水素の利用やCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)に並び、改めて注目されています。ここでは従来より実用化されているシリコン太陽電池・化合物半導体太陽電池・有機薄膜太陽電池などだけではなく、昨今盛んに研究開発が行われ実用化の早期実現が待ち望まれているペロブスカイト太陽電池の結晶性、元素分布、キャリア寿命などの分析手法を提案します。
膜厚・光学定数分析は、ペロブスカイト太陽電池材料の光学特性と性能を評価するための重要な手法です。膜厚の均一性や光学定数の正確な測定により、ペロブスカイト太陽電池を初め各種太陽電池の効率や安定性の向上に寄与します。
分光エリプソメーター
電子励起状態解析は、材料の光電変換効率やキャリア寿命を分析するための重要な手法です。この解析により、電子の移動や再結合のメカニズムを詳細に把握でき、ペロブスカイト太陽電池や各種太陽電池の性能向上に寄与し、より高効率なデバイス設計が可能になります。
蛍光寿命光度計
深さ方向の元素分布分析は、材料の内部構造と特性を理解するための重要な手法です。この分析により、層ごとの元素分布や化学組成の変化を詳細に把握でき、ペロブスカイト太陽電池や各種太陽電池の性能向上に寄与します。
マーカス型高周波グロー放電発光表面分析装置(GDS)
化合物半導体の太陽電池では、薄膜の元素の組成比によってバンドギャップが変化します。化合物半導体は、バンドギャップのエネルギーに相当する光を吸収するため、吸収係数の立ち上がり位置からバンドギャップを推定可能です。
半導体の不純物準位はドープする不純物の種類、濃度によって変化します。発光スペクトル測定による発光波長からその不純物準位を見極め、不純物の種類、濃度を見積もることができます。
顕微ラマン分光測定装置
分光エリプソメーター
太陽電池において電子正孔対のキャリア寿命は、太陽電池の効率に大きく影響します。発光寿命測定によりそのキャリア寿命を計測できます。
薄膜太陽電池の製造ラインでは、μC-Siの結晶化率のモニタが必要不可欠になっています。
ラマン顕微鏡
シリコン中不純物分析は、JIS H 0615で定められ高い波長分解能のフォトルミネッセンス装置が必要です。
Si中の不純物濃度の分析。JIS H 0615にて定められた手法
1um/min程度のスパッタリングレートで分析できるため、オージェ分析やXPS分析では不可能な迅速分析ができます。またマトリクス影響も小さいため、SIMS分析では難しい定量分析も可能です。検量線を用いれば、簡単に組成分析が可能です。
マーカス型高周波グロー放電発光表面分析装置(GDS)
異方性材料を含む、多層の有機薄膜の膜厚や屈折率を評価でき、配向性の評価に用いることもできます。
太陽電池の有機薄膜は吸光度の波長依存性が高く、正確に把握する必要があり、波長毎の消衰係数を容易に得ることができます。
分光エリプソメーター
自動薄膜計測装置