「文化財の何だコレ!?」遺跡などから出土する遺物の「謎」解明に貢献

遺跡から出土した遺物や堆積物の分析を得意とし、土器や金属の組成調査、木材や骨の年代測定などに貢献されている、株式会社パレオ・ラボ(以下、パレオ・ラボ)。視聴者から寄せられた「謎の物体の正体を知りたい」というテレビ番組の企画から調査依頼が舞い込むこともあり、謎の物体を鮮やかに分析、その正体の解明に迫る姿は圧巻です。

これらの分析に使用されている分析装置のひとつが、HORIBAの蛍光X線分析装置です。今回は、パレオ・ラボ 東海支店(岐阜県羽島市)を訪問し、分析調査研究部 竹原 弘展 様に同社での取組みや分析の魅力について伺いました。


 

HORIBA Talk:普段はどのような分析をされていますか。

地方自治体や研究機関からご依頼を受けて、「遺物」を分析することが多いですね。
各地で行政機関による遺跡や発掘調査が行われています。その時に出てきた出土遺物を行政機関が自力で分析することは設備的に難しいので、我々のような専門機関が分析を受託しています。土器や石器、顔料などの組成や年代測定など幅広い分析を行っており、例えば堆積物から出てきた花粉を分析することで、どういった植物が育っていたか、どういった気候だったかなど、当時の環境を推定することもあります。
   

HORIBA Talk:歴史などで学ぶ当時の環境の裏には「分析」の活躍があるのですね。

もちろん分析だけではなく、その分析結果をもとに考古学の専門家の方々と協働しながら進めています。分析結果や出土した環境などを総合的に判断し、当時の状況を復元していきます。そのため、できるだけ多くの分析データを提供することや分析の専門家としての専門的な知見が求められます。

HORIBA Talk:これまでに特に印象に残っている蛍光X線分析装置を用いた分析事例はありますか。

以前、戦国時代~近世にかけて金属加工を生業にしていたと推定される集落遺跡の遺物を分析しました。金属を入れて加熱して溶かすための「るつぼ(坩堝)」には金や銀、銅などが残っていることがありますが、それまで使用していたX線透過撮影では上手く映らず、金の存在を確認することができませんでした。しかし、HORIBAの蛍光X線分析装置でマッピング分析すると、ぽつんと1か所だけ金の存在を示す数値がでました。あらためて実体顕微鏡で観察するときれいな金の粒を確認できたのです。蛍光X分析装置で測った成果だと感じました。この調査によって、本集落で鉄や銅に加え「金」の加工も行われていたことが科学的に明らかになりました。

 

HORIBA Talk:竹原様が感じる「分析の魅力」を教えていただけますか。

「分析結果がすべての結論ではない」ということです。もちろん分析によって、その物質の元素や量といった化学組成を明らかにすることはできます。しかし、それだけで終わりではありません。出土遺物のなかには一部が消失していることもあれば、時間の経過とともに物質が変化していることもあります。数値だけではなく「この分析結果が意味することは何なのか」を分析の専門家としてお伝えし、考古学者の方々と一緒に検証を重ねていきます。数値を額面どおりに受け取ることができない部分が分析の難しさであり、おもしろさだと感じています。そして、お客様に検討いただくためのよりよい材料を提供することこそ、我々の仕事であり使命です。
  

HORIBA Talk:今後の展望を教えていただけますか。

HORIBAの蛍光X線分析装置を20年ほど使用しています。2022年末に蛍光X線分析装置「XGT-9000」にリプレイスしましたが、従来製品の良さを引き継ぎながらも、測定範囲が絞りやすくなるなど、さらに使いやすく改善されていました。より細かな分析ができるようになったXGT-9000を用いて、現在進めている分析をさらに極めていき、まだ解明できていない遺物の謎に分析の専門家として挑んでいきたいです。

 
※ 蛍光X線分析
X線を物質に照射することにより発生する、元素に固有のX線(蛍光X線)を捉えることで、物質に含まれる元素の種類と量を分析する手法。半導体や食品、薬品から、隕石や絵画、遺物まで、幅広い分野の研究や開発に役立てられています。

  
 


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