実路走行(RDE)規制対応に効率的な開発環境を提供
7月5日にオープニングセレモニーを開催
当社のグループ会社であるHORIBA MIRA, Ltd.(以下、ホリバMIRA社)は、英国ナニートン市にある同社のエンジニアリング施設内に、先進的排ガス試験設備 Advanced Emissions Test Centre (以下、AETC)を開設しました。AETCは、英MIRA社(現ホリバMIRA社)を買収して以来、当社の最新鋭の排ガス試験装置や各種シミュレーション装置とホリバMIRA社の計測ノウハウを融合した、初めてのコラボレーション施設です。従来の排ガス規制に加え、路上走行中での排ガス測定試験を義務付けた新しい規制(Real Driving Emissions、以下RDE)の導入に対応しています。当社の分析・計測技術と、ホリバMIRA社のエンジニアリングビジネスの連携を強化し、さらなる規制強化や自動車開発に対応し、今後に向けてビジネスの拡大を加速させます。
RDE規制の背景
世界的な自動車排ガス規制強化により、欧州では2017年9月、日本では2022年から乗用車向けに路上走行中での排ガス測定試験を義務付けたRDE規制の導入が予定されています。排ガス規制は世界で強化されているものの、2013年以降はEUの28ヵ国中19ヵ国で、大気中のNO2濃度が年間平均規制値を超えています。このため、実路走行環境におけるNOx、およびPNの排出量を抑制するために、新たな試験方法としてRDE試験が導入されることとなりました。
従来の試験室内での規制と異なり、気温や標高、運転方法などの環境条件下でNOx、およびPNの排出量がRDE規制値を超えないように自動車の開発を進める必要があり、自動車関連メーカーは、様々な走行条件でのデータを効率よく集めて解析することで、開発速度を早めることができます。
このような規制に対応し、スピーディーかつ効率的な自動車開発に貢献するためAETCを開設しました。
AETCの主な機能、特長
AETCは、4輪駆動用シャシダイナモメーターを中心とし、室内で実路走行を再現する最新の排ガス試験設備を備えています。摂氏-20度から35度まで温度を変更できる環境試験設備や高度5000mまでシミュレートできる高地模擬試験システムにより、あらゆる環境条件で高精度な排ガスデータの収集が可能となり、自動車メーカーの開発スピードを加速させます。
施設概要
名称 | Advanced Emissions Test Centre |
所在地 | 英国ウォーリックシャー州ナニートン市 ホリバMIRA社内 |
稼働日 | 2017年7月5日 |
面積 | 1114.8m2 |
投資額 | 約8百万ポンド |
日本でもホリバMIRAのビジネス拡大
2017年、日本にもホリバMIRA社の営業部門を新設しました。日本のお客様へ、ホリバMIRA社が保有する自動車開発技術や自動運転分野での強みを紹介し、事業拡大を進めます。2022年には日本でもディーゼル乗用車などのRDE規制が導入される予定であり、当社は、一足早く欧州でノウハウを蓄積することで、日本のお客様が効率的にRDE規制に対応できるようにサポートを行います。
7月5日開催のオープニングセレモニーについて
7月5日(水)に、ポール・マデン駐日本国英国大使にもご参加いただき、AETCにてオープニングセレモニーを開催しました。
(写真向かって左から、ホリバMIRA社 George Gillespie、当社代表取締役会長兼社長 堀場厚、駐日本国英国大使 Paul Madden)
ホリバMIRA社CEO Mr. George Gillespie(ジョージ・ギレスピー)のコメント
AETCの開設を非常に光栄に思う。新しい排ガス規制に対応するためのワールドクラスのソリューションを自動車メーカーに提供することができる。自動車開発支援のグローバルリーダーとしての地位を再確認し、先鋭的な施設と専門知識を通して製品開発していく。
代表取締役会長兼社長 堀場厚のコメント
AETCは、当社の持つ最先端の分析・計測技術と、ホリバMIRA社が持つ計測ノウハウを集約し、ホリバMIRA社の買収以降に初めて完成させた2社のコラボレーション施設となる。ホリバMIRA社では、2016-2017年と継続して毎年約30億円の投資を行い、事業基盤の整備を行ってきたが、目に見える形での一つの成果である。本稼働前ではあるが、すでに多くのお客様から試験発注をいただき、受注残が積み上がっている状態である。
世界で新しい規制の導入が進むこのタイミングでオープニングを迎えられたことは非常にうれしい。2017年からは、日本にもホリバMIRA営業部隊を設置し、日本のお客様へのホリバMIRA社の紹介に力を入れている。AETCを使ったRDE規制に関する事業強化はもちろんのこと、ホリバMIRA社がもつ自動運転技術の日本への紹介をはじめ、自動車開発分野の新しい領域に踏み出したHORIBAグループの可能性を広く知っていただき、事業成長につなげたいと考えている。