IoTを活用して装置のダウンタイムを削減、医療サービスの質向上に貢献
当社は、医療用機器向けの総合保守サービス支援システム「HORIBA MEDISIDE LINKAGE」の提供を開始します。 当社の小型自動血球計数CRP測定装置 「Microsemi LC-767CRP」と株式会社NTTドコモ(本社:東京都、代表取締役社長:吉澤和弘、以下、ドコモ)が提供する通信ネットワークサービスを使用し、クラウドサーバーを経由して装置の稼働状況を管理。メンテナンス時期等の情報を集中監視し、故障等による装置のダウンタイム削減に貢献します。
本システムは、10月よりフクダ電子株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長 白井 大治郎、以下、フクダ)の新メンテナンスプログラムとして提供を開始。2020年には本システムを使った検査装置の稼働台数6,000台をめざします。
先端の医療現場で常に万全のサービスを受けられる体制整備を推進し、医療サービスの質向上に貢献します。
本システム導入の背景
医療用検体検査機器市場においては、大病院や検査センターなど大型の検査装置を一拠点で多数使用される環境では、専用通信回線等を使用し、機器の稼働状況を遠隔モニタリングするシステムが普及していますが、開業医等の小型の検査装置市場ではその導入が遅れていました。昨今、モバイルネットワークの通信データ量の増加と広域化、低価格化により、開業医など小規模クリニックが中心ユーザーである小型の検査装置市場においても普及が現実的なものとなってまいりました。
日本においては、医療費削減の流れの中で、かかりつけ医を増やすなど、より患者に近い診療所レベルでの様々な検査需要の拡大が進んでいます。また、グローバル市場においては、特にこれから小型装置の市場拡大が予想される新興国市場において、モバイルネットワーク環境の整備が加速的に進んでいます。
HORIBA MEDISIDE LINKAGEについて
本サービスは、当社の小型自動血球計数CRP測定装置 Microsemi LC-767CRPを、データ保護視点等からも高い安全性を誇り、接続も安定したドコモのモバイルネットワークを使って監視するシステムです。このシステムにより、装置の稼働情報やメンテナンス時期等を遠隔で常時モニタリングすることが可能になります。従来の保守契約による定期点検(予防保全)だけではカバーできなかった装置の不具合を、事前に予測して発見・対応する予知保全により、装置の計画的管理が可能になります。
本システムで取得したデータは、日本システムウエア株式会社(以下、NSW)が運営するIoTクラウドプラットフォーム「Toami」上で提供されるアプリケーションと連携します。Toamiにより装置の様々なデータを可視化することで機器制御やデータ分析などが可能となります。
装置の稼働データはドコモが提供する通信ネットワークサービス「docomo M2Mプラットフォーム」を使って当社のクラウドサーバーに蓄積します。閉域網での安全性・信頼性の高いセキュアなモバイルネットワークを活用し、お客様が安心して装置をご使用いただける環境を実現します。
本システムを使用したメンテナンスサービスは、小型自動血球計数CRP測定装置 Microsemi LC-767CRPの国内販売を行なうフクダが、新たに保守契約プログラムに組み込み提供します。
今後の展開
本システムは、8月27日から始まる日本外来小児科学会(高松市)で発表し、10月からの販売開始を予定しています。今後、当社から発売する新製品には順次本システムを採用予定で、2020年には国内6,000ヵ所の施設でのシステム導入をめざします。また、各国における販売許可取得後には、グローバルでのサービス提供を行う予定です。当社が2020年を目標年度とした中長期経営計画で掲げる、医用事業のグローバル売上高目標である400億円の達成に向けて、今後も事業基盤を強化します。
【補足説明】
- CRP(C-Reactive Protein / C反応性たんぱく)
体内に急性の炎症や組織の損傷があるときに、血清中に増えるたんぱく質の一種で代表的な炎症マーカー。組織や細胞の炎症を早く鋭敏に反応し、その度合いを知ることができる。また、病態の改善の際には速やかに減少するので、病態の診断、予後の診断、治療効果の観察に役立つ。 - IoTクラウドプラットフォーム「Toami」
日本システムウエア株式会社が提供するIoTクラウドプラットフォーム。 - docomo M2Mプラットフォーム
各種機器等に組み込んだ通信モジュールのドコモ回線(国際ローミング中の回線含む)及び海外通信事業者の回線の一元管理を可能にするプラットフォーム。
【関連リンク】