当社は、環境放射線の体験学習用モニタ「ラディ(PA-300)」を12月20日より発売します。(標準価格125,000円)
放射線という身のまわりにありながら五感では感じられないものを、子供が自分の手で測定器を使い“はかる”という体験を通して、学ぶことができます。専門家向けの測定器としても使える性能でありながら、軽量・小型化。小学校など体験学習の学校教材に適した仕様としました。本製品による体験学習を通して、子供たちが目には見えないものの大切さ、さらに科学への興味や夢を育むきっかけにつながればと願います。
<放射線と子供>
私たちの身のまわりには、放射線がいたるところに飛び交っています。たとえば、宇宙からやってくるもの(宇宙線)、大地から放出されるもの、食べ物や人間の体の中からも実は放射線が出ています。このような身のまわりの環境放射線は、目には見えず触れることもできないため、測定器を使って“はかる” ことで、環境や人体に対する影響度がわかります。また、応用例として地質の調査や遺跡・化石の年代測定にも放射線はひとつの指標とされています。
一方、五感で感じられない放射線は一般の方にはなじみが薄く、特に子供にとっては生活や学習の場でイメージすることが難しく、興味を持つきっかけがあまりありません。
また、子供向けの簡単な測定器もこれまでなく、学校の理科の授業でも取り上げられる機会が少ない分野でした。
<放射線と学習>
私たち身のまわりの環境といえば、地球温暖化や酸性雨などはイメージしやすいのですが、放射線も生活環境に必ず存在するもので、少なくともその量がどれくらいであるかという認識を、子供の頃から持つことは大切と考えます。
子供が学ぶ理科の場では、少子化や受験重視による理科離れがすすんでおり、文部科学省も体験学習の重要性を唱えています。教材整備についても、総合的な学習の時間という特定教科の中で、環境学習に必要な教材として環境検査用具が挙げられています。
本製品は実験機械器具の品目、原子の構成実験用具に該当するものです。
<本製品と子供>
本製品は素粒子物理の研究用としても使える性能のセンサを利用しており、通常の自然放射線の少ない量から、それの約100〜200倍の強さまで幅広く測定でき、この高性能をもちながら、特に学校教材向けに専門的な知識がなくても簡単・高精度に測定できる工夫をしています。本体表面には、イラストで市街地、海、トンネルなどの測定値例を表し、場所によって放射線の量が異なることが一目でイメージできます。また裏面には測定の原理を簡単に説明した図解をつけ、メカのしくみについても興味が持ちやすいようにしました。
<主な特徴>
- 五感ではわからない放射線が手軽に“はかる”ことでわかる!
- 軽量、コンパクトなハンディタイプ(重さ、大きさとも従来比で約2分の1)
- 本体にイラスト解説付き(表面:場所ごとの測定値例、裏面:測定部構造の図解)
- 放射線をキャッチすると、音でお知らせ(ブザー機能)
- 学校教材・体験学習をお手伝い
- 取扱説明書に放射線の説明や実験例を紹介、学習用のテキストとしても流用可能
<体験学習の例>
- いろいろな場所の放射線をはかり、街の地図を作る。
- 乗り物に乗って移動しながらはかる。
- いろいろな材質の物から出てくる放射線をはかる。
- いろいろな材質で、放射線をさえぎる度合いをしらべる。
- 測定対象までの距離と放射線の強さの関係をしらべる。等々。
<標準価格>125,000円
<販売目標台数>初年度 200台
<主な仕様>
測定放射線:γ(ガンマ)線
測定範囲及び表示:デジタル4桁表示/線量当量率0.000〜9.999μSv/h
単位μSv/hは 1時間あたりの放射線量(μ=100万分の1)
電源:単3乾電池(2本)(約5日間連続使用可能/アルカリ電池の場合)
外形寸法:63(W)×26 (D)×151(H)mm
質量:150g(電池のぞく)
参考資料
[ご参考]
<放射線とは?>
どこからくるか:
放射線はどこにでも存在するもので、どこからやってくるかは大きく「地球の外から」と「地球から」の2つにわかれます。「地球の外から」は宇宙から降り注ぐ宇宙線からくるもの。「地球から」は地球誕生の時から存在する放射性元素つまり土壌や岩石等による大地からの放射線源と、それを取り込んだ動物や植物を食べ物として人体へ入る放射性元素があります。たとえば、食べ物の栄養素で無機質の一つにカリウムがありますが、放射性物質40Kがごく微量ながら存在しています。カリウムは栄養素として体内に摂取されるので、私たちの体内にも40Kがあり、常に40Kの放射線を受けています。
どんな種類、単位か:
放射線にはα、β、γ線をはじめ、X線、中性子線等、様々な種類があり、それぞれ物質を通過する能力など性質が異なります。本製品ではこれらのうちγ線の測定をします。放射線の量は「線量当量」、Sv(シーベルト)という単位で表します。Svは放射線のエネルギー量(吸収量)に、その放射線の体への影響度合い(生物学的に考慮したもの)を掛けあわせた量です。日本の自然放射線の量は、1年間で約0.9〜1.2ミリシーベルトです。国際放射線防護委員会(ICRP)は、一般公衆が1年間で受ける放射線(自然放射線以外)の限度量を1.0ミリシーベルトと定めています。
放射能とは:
物質が持つ放射線を出す能力のことで、1秒間に何本の放射線を出すかを表します。
放射能を持つ物質を放射性物質といいます。
- 測定原理
放射線をキャッチしてその量に対応した強さの蛍光を出すものを、放射線検出器(シンチレータ)と呼びます。本製品では、放射線検出器として「固体シンチレータ」と呼ばれるヨウ化セシウムの結晶を用いています。放射線の量に応じて検出器から出る蛍光をフォトダイオードで電気信号に変換し、1時間あたりの放射線量を表示します。
=放射線測定で一般的に知られているガイガーカウンタに比べて、10倍以上高感度。そのため、ガイガーカウンタでは検出できない自然放射線レベルのような、微量放射線の測定が可能です。=