世界最小の車載型排ガス測定装置を開発

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欧州で公道走行中の乗用車排ガス規制へ


(車載型排ガス測定装置「OBS-ONE」搭載イメージ)

当社は、自動車排ガスに含まれるNOxやCOなどを測定する車載型排ガス測定装置の新型「OBS-ONE」を開発し、7月に受注開始します。車載型としては世界最小(*1)で、分析計の小型化や独自の排ガス計測技術の採用により、搭載する計測システムの消費電力および重量を50%削減。欧州では2017年から公道走行時の排ガス規制において、世界で初めて大型車だけでなく乗用車にも対象範囲が拡大します(*2)。これにより、測定装置の市場規模は2年で倍増すると言われています。当社は主力製品の大型排ガス測定装置に加えて、小型軽量な車載型を提供することで、自動車メーカーや公的機関などで多様化する測定ニーズに対応します。2017年度までに当該製品において累計売上高40億円をめざします。

 

自動車排ガス規制の動向

地球環境問題への意識向上とともに、工場や自動車からの排ガス削減の動きが世界的に活発化しています。特に欧州諸国では、PM(粒子状物質)およびNOxの大気環境基準の達成が困難との報告(*3)がなされ、その原因の1つとして自動車排ガスの測定試験室における排出量と実路排ガスの排出量との乖離が指摘されています。欧州規制当局は、排出源の自動車に対する排ガス規制の強化を予定しており、今年9月からNOxを従来比で55%の削減を求める排ガス規制EURO6b(*4)を導入し、さらに2017年には乗用車の型式認証要件として、世界で初めて実路排ガス測定が義務づけられる予定です。欧州をはじめとして、PM やNOxなどの排出源をコントロールする動きが広がる中で、当社は多様な測定ニーズに対応する排ガス計測システムを提供することで、地球環境保全に向けた技術開発に貢献します。

 

自動車計測システム事業について

当社は、エンジン排ガス測定分野のパイオニアとして、排ガス規制や自動車開発の要求に応じ、最新の技術の測定装置をグローバルに提供してきました。世界の国家認証機関や主要自動車メーカーで採用され、性能とサービス面の信頼性により世界シェア80%を占め、デファクトスタンダードとなっています。
車載型排ガス測定装置については、2002年に世界で初めて市場投入して以降、米国での使用過程の大型車に対する実路排ガス規制に対応する計測システムとして提供してきました。
欧州における世界初の乗用車を対象とする実路排ガス規制の導入に伴い、環境負荷の少ないガソリン車やハイブリッド車などの研究開発が一層活発化すると期待されます。

 

OBS-ONEの特長

  1. 車載型分析計として世界最小を実現し、重量及び消費電力を最大50%削減
    小型分析計の開発や特許を持つ排ガス計測技術の採用、分析計をモジュール化をするなど、測定精度や耐震性能はそのままに既存製品比で6%の小型化。バッテリーなどを含めた測定システムの重量及び消費電力も同比で最大50%削減を実現。
  2. 拡張性が高いシステムを搭載し、多様な測定ニーズに対応
    当社の自動車排ガス測定装置シリーズの統合計測プラットフォームを搭載し、現在開発中のPM測定装置にも適応する拡張性をもつ。また、排ガス規制対応や開発用途で計測データを管理・解析するアプリケーションを提供し、多様な測定ニーズに対応。

 

車載型排ガス測定装置「OBS-ONE」製品写真

 

製品概要

寸法・質量標準仕様:350(W)×470(D)×330(H)mm・32 kg
測定成分CO、CO2、NOx、NO2 オプション:THC(炭化水素)
測定原理非分散型赤外線分析、化学発光法、水素炎イオン化法など
本体機能排ガス分析、校正ガス供給、測定データ後処理など
用途認証試験、エンジン研究開発、触媒評価試験
顧客公官庁、主要自動車メーカー、触媒装置メーカーなど

用語解説

(*1)世界最小とは
乗用車の規制対象となる排ガス4成分(CO、CO2、NOx、NO2)の測定装置で世界最小。(自社調べ 2014年5月現在)

(*2)2017年導入予定の排ガス規制
欧州で2017年9月より導入予定の世界初の乗用車を対象とした排ガス規制。型式認定要件として、実路での排ガスを定量的に解析する規制手法が用いられる予定。

(*3) 大気環境基準の達成が困難との報告
JRC Scientific and Technical Reports EUR 24697 EN – 2011参照(欧州委員会の共同研究センター 発行)

(*4)EURO6b
欧州で2014年9月より導入予定の世界で最も排ガス削減が求められる排ガス規制。特に、ディーゼル車から排出されるNOxを従来比55%削減が規定されている。