世の中には、pHについて書かれた書物はたくさんあります。しかし、どれも難しい理論や研究について書かれたものばかりで、一般向けに書かれたpHの書物はほとんどないと言ってもよいのではないでしょうか。
この「やさしいpHの話」では、「pHとは何なのか」、「pHが私たちの生活とどのように関わっているのか」を、実際にpHの測定をされる方に向けてわかりやすく説明します。
pHという言葉は、もうほとんどの方がご存じのことと思います。近頃では「お肌のpH」とか「食生活のpH」などという風に、すでに私たちの生活の中にもpHという言葉が使われていますし、また、リトマス試験紙を使ったpHの実験をしたことを憶えている方も多いことでしょう。
pHとは、水溶液の性質をあらわすひとつの単位です。ちょうど長さをあらわすのに「m」(メートル)という単位があるように、水溶液の性質を知るために必要な単位なのです。では、pHは水溶液のどのような性質をあらわす単位なのでしょうか。
レモンのしぼり汁をなめてみると「すっぱい」味がします。また、石けん水はヌルヌルしてなめると少し「にがい」味がするはずです。このレモンのしぼり汁に青色リトマス試験紙を浸すと試験紙は赤色になり、石けん水に赤色試験紙を浸すと青色になります。試験紙が赤くなったレモンのしぼり汁は酸性、青くなった石けん水はアルカリ性です。つまり、pHとはこのような水溶液の性質(酸性・アルカリ性の程度)をあらわす単位なのです。
下の図をご覧ください。中性はpH7、これより低い方を酸性、高い方をアルカリ性と呼びます。